◆ 「和風」の印を持つ謎
30 件の謎が連なり候。
- ◆ 軒三灯・打ち物の宵
鍛冶町の夜更け、軒に提灯が三つ。正面に見ゆるは、上より「こ」「と」「の」。胴にはめいめい五つの字。この夜に打ち上がりしは何にござるか。
- ◆ 噛み合はぬ楽しみ
夢枕に立つたご先祖が、近ごろの世の三つを咎めてをられる。拵へるな、商ふな、ともすな ── されど川口ならば格別なれど。ご先祖は何を咎めてをられるか。
- ◆ 継ぐと鳴る
古き和紙の上に、二つの絵。名を継いで読めば、一つの器が立ち申す。さて、何と申す。
- ◆ 異国よりの一鉢
江戸の縁側に、赤い実を垂らした鉢が一つ。二百余年、この実は膳に上ることなく、ただ眺められてござつた。今は、さうではござらぬ ── 異国より渡り来た一株に託した一問。
- ◆ 軒三灯・秋の夜
軒に提灯が三つ。正面に見ゆるは、上より「ち」「か」「ま」。されど胴は丸く、ひと巡りに五つの字が書いてござる。誰もが子供の頃に諳んじた並びに託した一問。
- ◆ 借り花の皿
桜、牡丹、紅葉。盛りの季は三つとも別にござるに、一枚の皿の上では揃うて咲いてござる。花の名を掲げ、まことの品は口に出さぬ ── 江戸の店先に生きた符丁に託した一問。
- ◆ 噛み合はぬ盆
盆に帰つてこられたご先祖に、近ごろの世の移り変はりをご説明申し上げる。ところが三つ、どうにも噛み合はぬ。盆の月・十五夜の日・七夕の季節 ── ご先祖が見てをられるものは何か。暦の数へ方に託した一問。
- ◆ 涼風の前の、三つの名
夏の夕暮れ、空の一方が重く沈む頃。銀竹、神立、肘笠 ── 古き人が「みな同じ一つのもの」と申した三つの名。姿と、由来と、降り出しの急なさま。三方から一つを指す異称に託した一問。
- ◆ 土用の膳
夏の膳に涼を三品。その名を口に上せれば、いづれも同じ音より始まる。土用に伝はる「うの字」の習ひを、鰻一匹をらぬ膳に託した一問。
- ◆ 和同開珎・絵図 其の三(夏の厄払い)
夏の疫を払ふ祭にゆかりの絵図にござる。四つの絵は、真ん中の一字を待ってをる ── 和同開珎・絵図、これにて三度目。
- ◆ 呼び名は移ろひて
軒に、棚に、膳に ── いづれも夏の涼。添へたる題字は古き呼び名。今の呼び名にて、三つ申されよ。
- ◆ 四つの景、空を読む
燕・蛙・朝焼け・蜘蛛の巣 ── 四つの景に通ずる古の知恵、その名やいかに。おまけは仲間外れ探し。空を読む夏の重ね問にござる。
- ◆ 七夕・短冊、頭を揃へて
五色の短冊、軒端に揺れる。めいめいの願ひの頭を、左より順に口ずさめば ── 七夕にふさはしき、あるものが結ばれ候。
- ◆ 三句三図・其の三
三つの絵、三つの句、詠み手はひとり。景を一幅に切り取る、その眼の主を導かれよ ── 三句三図、第三の巻。
- ◆ 四つの花時計、紛れあり
時計の盤に咲く、朝昼夕夜の四花。その名を読み解かば、なほ一つ、素性を異にする紛れ者あり ── 二層仕立ての重ね問。
- ◆ 手習ひ処の絵手本、夏の判じ一問
〈手本〉の作法に倣ひ、三つの絵を継げば、夏の涼み顕るる判じ一問。
- ◆ 和同開珎・絵図 其の二
和同開珎の四角き穴を、四つの絵が囲む趣向にて候。矢印のままに真ん中の一字と継げば、いづれも馴染みの言葉と成る。四方は互ひに縁なきが如し ── されど一字、これを束ねたり。さて、その一字、何と申す。
- ◆ 夏至の塔、季違ひの雁
陽の極まる夏至、五重塔のかなたを一棹の影が渡りゆく。夏には来ぬはずのその鳥と、空に聳ゆる塔と ── 上より繋ぎて読み解かば、夏の膳に涼を呼ぶひと品の名が、ふと顕るるはず。
- ◆ 蛍の見納め、川面の一句
蛍も名残の夕べに詠みし一句。その句頭に灯る三つの光を、上より順に繋ぎてみれば、言の葉に尽くせぬあの心地が、ふと一語となりて顕るるはず。
- ◆ 八五郎の三枚の絵解き
長屋の与太話より一席。三枚の絵に隠れし三つの言の葉を、真名に継げば、ひとつの名が立ち上がり候。
- ◆ 壁書と襖絵、初夏の風物詩
雨の座敷に残されし戯書き。仮名を真名に直し、通ふ一字を重ね合はすれば、初夏に親しき実ひとつ、部屋の真中に結ぶ。
- ◆ 牡丹と涙、その行く末
はらはらと落つるものの行く末、ひとつの音に秘めたり。
- ◆ 三句三図・其の二
絵三幅に潜む三句、其の詠み手や誰そ。
- ◆ 旧国名に隠された本音
伊勢・大和・出羽 ── 三つの古き名に忍ばせし、女の本音。これを読み解く者ありや。
- ◆ 新緑の薫風、膳に満つる図
盆の上に黄金の揚げ物。この一皿が描かれてあること、そのものが示す季節の習ひとは。
- ◆ 和同開珎・絵図
円き銭の方孔に、いかなる一字が嵌まるか。四方の絵図、矢印の順に読み解けば、おのずと薫る一字あり。
- ◆ 賀寿暦月の理
茶寿・米寿・白寿──齢の名に潜む数を、暦月の名にすり替ふ。算術仕立ての、賀寿の謎にござる。
- ◆ 三句三図・露の間の三景
皐月の奥羽路にて行合ひし三つの景色。菅笠ひとつにて巡り、これらを句に遺しし旅人は誰か。
- ◆ 連鎖謎かけ・皐月に響く
謎かけ三段、其の一・其の二の「心」がそのまま其の三の問ひとなる連鎖の趣向。皐月の空に響く三重の掛詞、解いてみてくださりませ。
- ◆ 秋味中抜の膳
膳に秋刀魚、傍らに山葵が一株。品を名で読み、数で読む ── 二つの中抜きの先に立つは、日本の美意識ひとつ。帖の一作目にござる。