難易度 ★★★★☆

賀寿暦月の理


口上

五月十九日、皐月の半ばを越えしその日、ひとつ算術仕立ての謎を世に問ひ候。

齢を祝ふ名と、月を呼ぶ名と。和の言の葉には、知らず知らずのうちに数の宿りし名が、いくつもござる。茶寿、米寿、白寿── これらの名、ただの祝言にあらず。漢字の中に、その齢の数そのものが封じられてござる。

されば此度の謎、その理を解き明かすところより始まり候。


御題

茶より米を減じ、卯をもってこれを除けば【 5 】 を得る。

霜をもって白を除し、これに「かんな」を加えれば、何を得るか?


賀寿の年・暦月の数

茶寿・米寿・白寿── それぞれ何歳の祝ひにござるか。

霜月、皐月、神無月── 暦月の名は、月の数と結びついておる。

「除く」「除す」── 此処での「除」は、足し引きにあらず。割算にござる。前段の式、しかと検めて参られよ。

答えを見る

答えは 皐月十九日(さつき じゅうくにち) にござる。

前段 ── 読者への手解き

茶寿百八歳108
米寿八十八歳88
卯月(四月)4
(10888)÷4=5(108 - 88) \div 4 = 5

得られし 5、即ち 皐月(五月) にござる。

後段 ── 本題

由来
白寿99九十九歳の祝ひ
霜月11十一月
かんな10神無月(十月)
99÷11+10=9+10=1999 \div 11 + 10 = 9 + 10 = 19

得られし数 19、即ち 十九日

前段の 皐月 と合わせて、答は 皐月十九日

しかして此の日は何の日ぞ

御賢察の通り、此の謎を X にて世に問ひしその日── 五月十九日にござる。

謎の答が、謎の出題日その日を指す。算術と暦と、賀寿の名とが、一日の上にぴたりと重なる仕掛けにござりける。

── 賀寿の漢字に潜む数 ──

茶寿・米寿・白寿の名、いづれも齢の数を漢字の中に封じてござる。一見、ただの祝言の名のやうで、その実は精緻な分解の妙が宿る。

米寿 ── 88歳

」の字を分解すれば、八・十・八。即ち八十八。

   ヽノ      ← 八(上)
   十      ← 十
   ノヽ    ← 八(下)

白寿 ── 99歳

」の字より「」を取り去れば、「」となる。 百から一を引きて、九十九。

茶寿 ── 108歳

」の字を上下に分解する。

  • 上の「艹(くさかんむり)」を 十・十 と読みて、二十
  • 下の「」を、米寿の「米」と同じく八十八と読む

二十 + 八十八 = 百八

齢の数を漢字の形そのものに封じ込めるこの趣向、和の言葉の妙の極みとも申すべきものにござる。

結びに

齢を祝ふ名と、月を呼ぶ名。いづれも、数をに隠す古の知恵。本日の謎、その二つを橋渡して、一日の日付を浮かび上がらせ申し候。

茶寿、米寿、白寿── かやうな名を耳にしたるとき、ふと「されば此の中に幾つの数が封じられておるか」と思ひ起こされなば、作者として此の上なき喜びにござる。

次なる謎、また改めて。

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