難易度 ★★★☆☆

和同開珎・絵図


和同開珎・絵図

和銅元年、朝廷より世に出でし円き銭あり。名を和同開珎と申す。外は円く、内には四角き孔を穿つ ── 円形方孔のその姿、千三百年を経てなお、見る者の目を引いて離さぬ。

四つの字を上・下・右・左に配し、巡らせ読むが、かの銭の習いにて候。されば今宵の絵図も、銭の姿にあやかりて拵えた。中央にぽっかりと空いた一つの孔 ── ここに嵌まるべき一字こそ、本日の御題に御座る。

四方の絵を、矢印の指し示す順に読まれよ。いずれも、ありふれた二字の熟語と相成る。

御題

四つの絵図から矢印の順に読めば、いずれも二字熟語と相成る。 中に入る共通の文字、解き明かしてくだされ。

今の季節に薫るあの言葉、童も習う九画の文字に御座る。

孔へ出入りする四方の絵

矢印は、読むべき順を示しておる。

  • 孔へ向かう絵は「絵 + 答」
  • 孔より出づる絵は「答 + 絵」

と読み下せばよい。

左の絵 ── 朝日を背に聳ゆる霊峰は、初春の吉夢に「一に◯◯、二に鷹、三に茄子」と数えらるる、あの一座に御座る。さすれば、数の「一」に通ずるが知れよう。

「今の季節に薫る言葉」と申せば、答えはもう、半ば薫り立っておろう。

答えを見る

答えは ── (かぜ・ふう/九画)。

中央の孔に「風」を据えれば、矢印の順に四つの熟語が立ち上がる。

方位絵図読む順成る熟語
台(供物の載りし台座)台 → 風台風(たいふう)
車(荷車の車輪)風 → 車風車(かざぐるま)
土(盛られた土の山)風 → 土風土(ふうど)
富士(=「一」)一 → 風一風(いっぷう)

左の絵、なぜ「一」か

朝日に映ゆる富士の山。これぞ「一富士二鷹三茄子」── 初夢に見れば縁起よしと数えらるる、その筆頭に御座る。富士は数の「一」を背負うておる。ゆえに「一 + 風」で「一風」と相成る。

「風」を選びし理由

九画にして小学二年で習う、童も知る一字。されど「今の季節に薫る言葉」── すなわち 薫風。初夏、若葉の香を運びて吹く風を指す季語に御座る。皐月晴れの空の下でこの絵図を解かれた御方は、知らず識らず、季節の風に当たっておられたわけ。

和同開珎のこと

和銅元年(七〇八年)に鋳られし、日本でも指折りに古き流通貨幣の一つ。唐の開元通宝に倣い、外円・内方孔の形を採った。表に並ぶ四字「和・同・開・珎」は、上・下・右・左の順に読むのが習いにて候。

この絵図もまた、銭の方孔を中央に据え、四方に絵を配して「読ませる」── かたちそのものが、千三百年前の銭への、ささやかな目配せに御座る。

円き銭の小さき孔に、いにしえの人々もまた、何かを通して世を眺めていたのやもしれぬ。本日はそこへ、一陣の「風」が吹き抜けた。

次なる謎、また改めて。

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